サービス付き高齢者住宅利用者〇〇さんは2年前に入所され、同時に在宅訪問を開始しました。耳が遠いので訪問時、薬剤師は筆記で質問や指導をし、〇〇さんは口頭で答える形をとっています。
軽度認知症があり、服薬等の指導内容を忘れられることが多いので、指導内容や気付いたことは施設看護師や介護福祉士に必ず報告をしています。
今回訪問した時、脛や背中が痒くなることがあるとの訴えがあったので、脛を見せていただきました。ヘルパーによる入浴介助の後に処方薬のヒルドイドローション(保湿剤)を全身に塗っていただいているにも拘らず、脛に軽度の乾燥と掻き傷があり、痒みは皮膚の乾燥によるものと思われました。冬に向かうこれからの時期、空気の乾燥に加えヒーターにより皮膚の乾燥は加速するので、保湿剤を1日2回塗ることが必要だと判断しました。〇〇さんの入浴介助は2日に1度で、それ以外は保湿剤を塗っていない様子なのでご自身で1日2回塗るように指導し、使用量の目安もお伝えしました。また、ドラッグストアーで購入され持っておられた尿素入りクリームの保湿剤は傷のある所に塗るとしみる可能性があるので塗らないように指導しました。
認知症による物忘れがあるので、ご自身でヒルドイドローションを塗ることを覚えているか不安でしたので介護福祉士に相談しました。相談の結果、ヘルパーが毎日生活援助に入るので、その時に塗り薬を塗るように声をかけて下さることになりました。
皮膚の乾燥は痒みや不眠の原因にもなり、掻くことで傷になり、そこから感染の危険性もあるので注視していく必要があります。
私たち薬剤師の在宅訪問では、処方された薬だけでなく、患者さんが買われた薬が今の病態や生活様式・習慣に適切かどうかを判断し、また、他職種の医療従事者と連携することで患者さんの生活の質を高め、より良い生活を送っていただけることに繋がるよう心がけています。